会計ソフト、農家は何を選べばいい? ——弥生を15年使ってきた私の本音
2026年7月11日 公開
今回は、会計ソフトの話です。
農家や個人事業主なら、避けて通れない帳簿と確定申告。私は「やよいの青色申告」(以下、弥生)を15年ほど使い続けています。その本音を、良いところもイマイチなところも、かかったお金の実額も含めて、正直に書きます。
この記事でわかること
- 農家の会計ソフト選びのリアル(農業専用ソフトか、一般ソフトか)
- 弥生を15年使った本音と、かかるお金の実額
- クラウド会計(freee・マネーフォワード)に乗り換える前に、知ってほしいこと
- クラウドに変えたら、秘書(AI)に何を手伝ってもらえそうか
父の代は、手書きの帳簿だった
父の代の帳簿は、ずっと手書きでした。パソコンを使わないので仕方ないのですが、私からすると「よくこれでやってきたな」というのが率直な感想です。少し間違えたら、その度に書き直し……やってられないですね。毎年、確定申告の時期が近づくと、「気が重い」と母がこぼしていました。
私が農業に携わるようになったのは、いまから15年ほど前。帳簿は当然、パソコンでつけることにしました。
ソリマチか、弥生か —— 15年前の選択
そこで会計ソフトが必要になり、税理士さんに聞いて、2つの候補で検討しました。
| ソリマチの農業簿記 | やよいの青色申告 | |
|---|---|---|
| 特徴 | 農業用の勘定科目が 最初から設定済み | 農業用の設定は 特になし |
| 当時の値段 | たしか6〜7万円 | 1万円ほど |
農業用に勘定科目が設定されているソリマチは「使いやすそうだな」と思いましたが、初期費用の高さで見送り。安さに惹かれて、弥生にしました。(値段は当時の記憶なので、だいたいです。)
農業用の設定がない分、勘定科目は自分で設定して、一般の青色申告を流用する形に。——結論から言うと、これで15年、問題なく回っています。
毎年、弥生でやっていること(正直に言うと…)
正直に言うと、日々の記帳は全くやっていません。年が明けてから、ようやく重い腰を上げてやり始めます。なので、すっかり忘れていることが多々あります。
それでも回っているのは、銀行口座とクレジットカードの連携のおかげです。現金払い以外は自動で取り込んでくれるので、手で打ち込む作業がほとんど要りません。キャッシュレスで払っておくほど、あとが楽になります。
年明けに1年分をまとめて整理して、決算書まで弥生で作成。申告は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」に数字を打ち直して、e-Taxで送信しています。65万円の青色申告特別控除も、この方式で受けています。
弥生の良いところ
- 銀行・クレカ連携の自動取り込み。記帳サボり派の私でも回っている、一番の理由です
- 毎年の税制改正に、更新で対応してくれる。税金のルールは毎年変わるので、ここは安心料だと思っています
- バックアップがあるので、パソコンが故障しても安心
- 老舗なので、解説書やネットの情報が多い
弥生のイマイチなところ
基本的にWindowsのパソコンが前提、ということです。Macでも使える「やよいの青色申告 オンライン」もありますが、公式サイトにも「伝票や帳簿でしっかり記帳、申告したい方は『やよいの青色申告 26』をおすすめいたします」(執筆時点)とあるように、しっかり使うならWindows版が基本のようです。
今まではWindowsしか使ってこなかったので、気になりませんでした。でも最近、事情が変わってきました。1. Macを使い始めたこと。2. AIに手伝ってもらうには、クラウド型が便利なこと。この2つの理由で——正直、他の会計ソフトへの乗り換えを検討しはじめています(詳しくは、この後で)。
弥生でかかったお金(実額)
| 金額 | |
|---|---|
| 最初に買ったとき (やよいの青色申告 12) | 10,500円 |
| 毎年の更新料 (セルフプラン・2026年5月更新) | 年11,800円 |
更新料は、月になおすと1,000円ほど。毎年の税制対応とバックアップが付いてくると考えて、私は納得して払っています。
会計ソフト選び、農家のリアル
ここが、今日いちばん伝えたいところです。
実は、弥生も「農業所得用」の決算書に対応しているわけではありません。私は勘定科目を自分で設定して、一般の青色申告を流用しています。そして申告はソフトからワンクリック……ではなく、国税庁のサイトに数字を打ち直してe-Taxで送信。それで65万円控除も受けられています。
じゃあ、クラウド会計はどうなのか。調べてみると(執筆時点・各社の公式サポート情報より)——
- マネーフォワード クラウド確定申告:青色申告決算書(農業所得用)に非対応
- freee:農業所得用を作れるが、その画面からのe-Tax送信は不可
「なんだ、農家はクラウド会計を使えないのか」と思いますよね。でも、私のように「帳簿はソフト・申告は国税庁サイト」方式なら、実はどのソフトでも回ります。
💡 教訓
「農業用対応」という看板より、「自分の申告のやり方に合うか」で選ぶ。なお、仕様や料金は変わるので、検討するときは必ず各社の最新の公式情報を確認してください。
クラウドにしたら、秘書(AI)に何を手伝ってもらえる?
もうひとつ、乗り換えを考える大きな理由が、これです。いまの弥生はWindowsのパソコンの“中”にあるソフト。だから、日ごろ事務を手伝ってもらっているAIも、弥生の中まではほとんど覗けません。ところがクラウド会計はネットの中のサービス。同じ画面を、AIと一緒にネット越しで見られるようになります。ここが、私にとっては一番大きい理由です。
具体的には、こんなことを手伝ってもらえるはず、と考えています。
- 帳簿の見直しの相棒:「この支払い、勘定科目はこれで合ってる?」を一緒に確認。毎年“過去の自分”に文句を言っている、あの作業がラクになりそうです
- 売上まとめとの突き合わせ:前に書いた売上の見える化の数字と、会計ソフト側の売上がズレていないか、まとめてチェック
- 分類に迷う取引の洗い出し:「これ、どっちだろう」という取引を先に拾い出して、たたき台を用意してもらう
正直、いまはまだ「やってもらえるはず」の段階です。乗り換えて実際に試したら、できたこと・できなかったことを、またそのまま書きます。(このブログは、それが身上なので。)
💡 ここだけは、AIに任せない
便利になっても、ログイン(IDやパスワードの入力)は必ず自分の手で。そして税金の最終判断は、税理士さんに。AIはあくまで“下ごしらえ”の相棒で、最後にハンコを押すのは人間の仕事——ここは、はっきり線を引いています。
正直な現在地 —— 乗り換えは「あり」だと分かった
調べて分かったのは、私の申告のやり方なら、乗り換えの壁は意外と低い、ということでした。
ただ、弥生はこの5月に更新したばかり。シーズン途中の帳簿の引っ越しも面倒です。なので、今年の帳簿は弥生で走り切ります。
そのうえで——新しく作る会社(会社づくり準備編の続きです)の会計は、弥生ではなく別のソフトを使う予定です。法人の決算まで自分でやってみたいので、それに対応した安いものを選びました。
実際に使ってみて、どうだったか。それはまた、正直に書きます。
※この記事は、私自身の体験と執筆時点の情報にもとづくものです。税金・社会保険・制度の取り扱いは人によって違い、年によっても変わります。サービスの料金や機能も変わります。実際に判断されるときは、必ず公式の情報を確認し、税理士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。
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